月、惑星の処理
基本的には動画をスタックして、ウェーブレットで強調処理をかけています。ただし月に関してスチルで一枚撮りの場合は、ウェーブレットで強調処理かけておしまいにする場合もあります。楽ちんなので。その場合強調処理をしたいとき、フォトショ系ツールで強調するよりパリッと仕上げやすい気がします。その後フォトショ系のツールで色味などを整えています(面倒なので iPhone だったりする。でも優秀)。元画像は RAW だったり、動画の方も非圧縮とかとにかく高画質なものの方がいいです。あと飽和すると画素データが消失するので、ちょっと暗めに撮っておくといい感じかと思います。
月を撮るときは ISO感度は低めでシャッター速度もかなり速くできます。
動画の処理
惑星(金星、火星、木星、土星など)の処理と月で使うツールは同じです。Autostakkert! でスタック処理をして、TIFF を出力、Registax6 でウェーブレット変換での強調処理をおこないます。スタック処理しただけではモヤっとした感じでもウェーブレットで強調処理をすると詳細が浮かび上がってきます。Autostakkert! の受け付ける動画フォーマットは制限があるので、対応しない MOV などは PIPP などのツールでフォーマットの変換をする必要があります。SER などの劣化しないフォーマットを選びます。また PIPP は自動追尾していてもしていなくても対象が画面上フラフラしている(風だったり振動だったり追尾エラーだったり)のをセンタリングして切り出す機能や、画質の悪いフレームを削除する機能があるので併用したりします。Autostakkert! にもセンタリングする機能はあるのですが、PIPP でセンタリングした方が良い場合があります。月の拡大撮影の場合は PIPP よりも Autostackkert! でアンカーに固定した方が良い時もあったりします。スタックしたあとの Registax6 の操作はスチルと特に違いはありません。
動画は時間にして30秒程度で1500枚程度の画像が得られ、それだけあれば十分な感じです。大気の揺らぎによるシーイングの補正に有効なんだと思います。またシーイングが良いのは正義で、月でも惑星でも段違いの解像度が得られます。
星雲/星団の処理
オリオン大星雲、アンドロメダ銀河などの処理の仕方です。複数のスチル写真をスタックして画像を得ます。
DeepSkyStacker を使っています。長時間?露光したスチルを数枚〜数百枚レベルでスタックします(総露出時間は数十分〜数時間になるぐらいで効果が出てくるようです。複数の日に撮ったデータを合成する方もいるようです)。JPEG も対応していますが、RAW の方がいいよとツールに言われます。多少時間によってずれたり回転したりしていても写っている星を頼りに移動/回転をかけながらガンガンスタックしてくれます。撮影条件(温度含む)が同じでレンズキャップをしたまま撮るノイズ除去用のダークフレームや、周辺減光を補正するためのフラットフレーム(撮り方色々ですがPCの液晶にグレーを表示させて撮ってます)は無くてもスタックしてくれます。スタック後にトーンカーブのようなものをいじって光害をカットしつつ星雲/星団を浮かび上がらせるよう補正をかけて炙り出します。一昨年もチャレンジしたのですが、元画像の解像度、ピントなどさまざまな要因はあるものの、イマイチ炙り出し方がわからなかったのが一番の原因だったんだなと思います。
長時間露光をすればスタックに使う枚数は減らせますが、そもそも都内で撮影すると30分なんて長丁場の露出画像を得ることは難しく、そもそも自分の場合赤道儀を持ってないのでそんな撮影もできません。短時間露光(数秒程度)で枚数を稼ぐやり方を知ったのですが、短時間露光なら飽和もしないし星も流れないし、赤道儀じゃ無くてもどうにかなるので(弊害はありますが)、都心で撮るなら一石二鳥?なのでお試し中です。
スタック処理後の追加処理
スタック後に複数の画像から一枚の画像を生成するモザイク合成と、複数の画像からデローテーションする方法について。適用できる種類は限られますが、更なる高解像度を得る手法です。
モザイク(パノラマ)合成
Image Composite Editor2 を使って先程の動画処理で得られた月の拡大画像などを繋げて一枚の画像にすることができます。月全体を一枚で撮るより更に高解像度のデータが得られます。星雲、星団系でも複数の画像を繋いで大きなものにするケースがあるようで、このツールが使われることもあります。デローテーション
WinJUPOS という惑星の回転を考慮してスタックしてくれるツールを使います。土星などにも使えるようですが、木星を処理する際に有用です。木星の自転はとても速く、撮影中に刻一刻と回転していく様子がわかります。複数の時間差で撮った動画から得られたスタック結果を WinJUPOS にかけることにより、更に鮮明な画像を得ることができます。
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